冠詞
174. スペイン語の冠詞のルール・定冠詞、不定冠詞、無冠詞の使い分け
2023.01.24
2025.09.29
目安時間
17分
ここでは、スペイン語の冠詞のルールについて解説しています。冠詞とは、名詞の前に付いている言葉で、名詞の性や数によって変わります(中性もありますが)。日本語にはない言葉なので理解しにくいですが、英語のthe や a, an, some と言えばイメージが付きやすいかもしれません。
冠詞の種類
スペイン語の冠詞には以下の種類があります。
男性単数
女性単数
男性複数
女性複数
定冠詞
el
la
los
las
不定冠詞
un
una
unos
unas
※女性単数形であっても語頭が「a」か「ha」でかつ、語頭にアクセントが来る言葉は言いやすさのため、男性単数の冠詞 を使う言葉があります(el aguaー水, el hambreー飢え, el hachaー斧、など)←すべて女性名詞です。
冠詞としての「lo」 は名詞の前に付くのではなく、形容詞の前に付きますが、冠詞の lo と組み合わさることで名詞(~のこと)となります。
尚、名詞には冠詞が付かない場合があります(無冠詞)。
無冠詞(冠詞の有無)
計測の単位を付ける場合や、特定のもの、形容詞が付くなど修飾されている場合でない限りは、
数えられないもの には基本的に冠詞を付けません。
Quiero pan , por favor.
私はパンが欲しいです。
Quiero un pedazo de pan.
私は一片 のパンが欲しいです。
No me gustó el pan que comí anoche .
昨夜私が食べた パンは好きではなかった。
Es un pan muy sabroso .
とてもおいしい パンです。
二番目の例文は量の単位が付いています。三番目の例文は特定のパンですね。四番目の例文はパンが修飾されています。
あれ?パンって一個二個って数えられるんじゃないの?って思いますよね?画像のパンは bolillo という名前です。一つ欲しい場合は un bolillo です。菓子パンにもそれぞれ名前が付いています。例えばクロワッサンは cuerno と言います。一つのクロワッサンが欲しい場合は un cuerno と言います。
pan というのはすべてのパンの総称のことです。昔からパンは分け合って食べられていました。ちぎったパンのかけらはun pedazo de pan と言います。「小麦をこねて焼いたもの」ということで、数えられないもののうちに入るのですね。昔はもっと大きなパンだったのでしょう。
Quiero tomar leche .
私は牛乳を飲みたい。
Quiero tomar un vaso de leche.
私は一杯 の牛乳を飲みたい。
Tomé la leche que había comprado el día anterior.
私は前日に買ってあった 牛乳を飲んだ。
Me dieron una leche horrible .
私はひどい 牛乳をもらいました。
牛乳が数えられないものであるのはわかりやすいですね。一番目の例文は冠詞がついていません。二番目の例文は「コップ一杯の」という量を表す単位と言えるものが入っています。三番目の例文は特定の牛乳を表現しています。四番目の牛乳には形容詞が付いているので冠詞が付いています。
ビールは cerveza で数えられないので Compro
cerveza . (私はビールを買います)と冠詞なしで言いますが、Quiero una cerveza.(私はビールが欲しい)と冠詞付きで言うこともあります。una botella de cerveza (ビールのボトル1本)という意味です。
Necesito dinero .
私はお金が必要です。
Me trajeron una bolsa de dinero.
私に彼らは一袋 のお金を持ってきました。
Mi vecino me prestó un dinero, pero ya lo devolví .
隣人は私にあるお金を貸してくれたけどもうそれを返しました 。
Es un dinero prestado .
借りている お金です。
硬貨のことを moneda と言い、これは数えられます。お札は billete と言い、これも数えられます。お金という意味の dinero は総称で、数えられない名詞となっています。
一番上の例文には冠詞がありません。二番目の例文には「一袋の」という計測の単位が入っていて、この単位には冠詞が入ってもokですね。三番目の例文は特定のお金のことを言っています。不定冠詞が使われる時もあります。四番目の例文は形容詞が付いているので冠詞が付いています。
また、
複数の名詞で、その数やタイプなどは、興味の対象でない場合 、冠詞を付けません。
Ahí venden flores .
そこでは 花を売っています。
Hago pasteles para vender en el mercado.
私はマーケットで売るため ケーキを作ります。
Compré libros usados .
私は中古の 本を買いました。
何の職業かを言う場合 も冠詞は普通は付きません。(「誰々の秘書」など、特定の職業を言う場合などや、形容詞が伴う場合は冠詞が付きます。)
Soy escritor .
私はライター(男性)です。
誰かの国籍を言う場合 も冠詞は付きません。(形容詞が伴う場合は初めて言う場合、不定冠詞が付きます)
会話相手の敬称 には冠詞は付きません。(第三者の敬称には定冠詞が付きます)
Sr. Mendoza, ¿cómo está usted?
メンドーサさん、お元気ですか?
今日は~曜日、明後日は~曜日 、などと言う時は冠詞は付きません。(通常、曜日には定冠詞が付きます)
何を勉強するかを言っている場合、科目や学部の名前 には冠詞は付きません。
Estudio física .
私は物理学を勉強しています。
動詞hablar, estudiar, enseñar, aprender, practicar の後(en の後の場合も)の言語 には冠詞は付きません。
Me gusta hablar español .
私は スペイン語を話すのが好きです 。
苗字ではなく
名前に付く敬称DonとDoña には冠詞は付きません。(第三者のことを話していても付きません)
Don Pedro nos invitó a su casa.
ペドロさんは私たちを 彼の家に招きました 。
国の名前や市の名前 には特に意味を持たせたい時以外は冠詞は付きません。(冠詞が付く国名や地名はあります)
無冠詞の熟語 の場合はそのまま覚えてください。
Pido disculpas .
私は謝罪を求めます(ごめんなさい)。
Pide permiso .
許可を求めて(命令形)。(彼は)許可を求める(現在形)。
交通手段で前置詞en の後 は冠詞が付かないことが多いです。
Fuimos en taxi .
私たちはタクシーで行きました。
前置詞“de” の前の言葉が後ろの言葉(カテゴリー)に属するものである場合 は後の名詞に冠詞が付きません。
la tarjeta de crédito
クレジットカード
tarjeta de visita (訪問)など、いろんな tarjeta があります。その中の一つ、ということです。
スペイン語の定冠詞
スペイン語の定冠詞 el, la, los, las は英語の the に相当し、その物(または人)が何か
すでにわかっている場合 (もうすでに話に出たなど)に使います。日本語では定冠詞は「その」、「それらの」、「例の」、「すべての」などと訳すことができます。
Compré el libro que me recomendaste .
私は君が 私に勧めた (その)本を買った。
一般的な意味で単数名詞を主語として使う場合 は、話の中で初めて出てくる場合でも定冠詞を使います
El ignorante afirma, el sabio duda y reflexiona .
無知の者は肯定し、賢者は疑い、熟考する 。
第三者の苗字を言う場合、敬称に 定冠詞を付けます。敬称とはSr.=Señor(男性), Sra.=Señora(既婚の女性), Srta.=Señorita(未婚の女性), Dr.=Doctor(医者), Ing.=Ingeniero(技師), Lic.=Licenciado(弁護士など文系の学士)などのことです。
La Sra. Alarcón va a venir aquí pronto .
アラルコン夫人はここにもうすぐ 来るでしょう。
曜日 は通常定冠詞が付きます。
時間 も定冠詞が付きます。
Mi cumpleaños es el viernes .
私の誕生日 は金曜日です。
Son las siete en punto .
7時ぴったり です。
動詞traducir(翻訳する)を使う時、前置詞とともに 定冠詞を使います。「~から」は「de + el = del」、「~に」は「a + el = al」です。
Traduzco del francés al japonés.
私はフランス語 から日本語に翻訳します。
再帰動詞では体の部分や身に付ける物に 定冠詞を付けます。
Me quito los zapatos .
私は 靴を脱ぎます 。
Lávate la cara .
君は 顔を洗って 。
冠詞が付く国名や地名 があります。
El Salvador
エルサルバドール
La Paz
ラパス
海や川、山の名前 にも定冠詞が付きます。
El Océano Pacífico
太平洋
El Río Colorado
コロラド川
El Monte Fuji
富士山
形容詞に定冠詞を付けて名詞化(~な人、~な物)されている場合 があります。
Mi maestra es la alta .
私の先生(女性)は背の高い方です。
動詞ser を使って最上級を伴った職業や国籍を言う場合 に定冠詞を付けます。
Manuel es el mejor estudiante de toda la escuela .
マヌエルは学校中 で一番いい生徒です。
Jorge Negrete es el mexicano más famoso a nivel mundial .
ホルヘ・ネグレテは世界レベルで 一番有名なメキシコ人です。
「~はどこですか?」と言う時 は定冠詞を使います。
¿Dónde está el baño ?
トイレはどこですか?
スペイン語の不定冠詞
スペイン語の不定冠詞、un, una, unos, unas は話の一番最初に出てくるような、
物や人がまだ何かわかっていない時 に使います。英語の a や an のように、「ある」や「一つの」、また複数の場合は英語の some のように「いくつかの」というように訳すことができます。
Hay una pelota en la caja .
箱 に一つのボールがあります。
動詞hay の時は必ず不定冠詞(複数の場合は無冠詞も)か数字を使います。
動詞ser で形容詞とともに職業や国籍などを言う場合 も通常不定冠詞を付けます。
Julia es una chilena muy simpática .
フリアはとても感じの良い チリ人です。
Mi hermano era un científico muy sobresaliente .
私の兄弟は大変抜きんでた 科学者でした。
「これは何ですか?」 と聞かれた時の答えは通常不定冠詞を使います。
¿Qué es esto? Es un tornillo .
これは何ですか?一つのねじ です。
冠詞の lo
冠詞の lo は形容詞の前について「~のこと」という意味の名詞になります。
Es lo mismo si voy o no voy.
私は行っても行かなくても同じです。
「一番~なこと」と最上級を表す時は lo más の後に形容詞となります。
スペイン語の冠詞・まとめ
間違えてもいいです。日本にはない概念なので難しいですよね。冠詞は難しいと思います!
定冠詞は「その」という感じ。
不定冠詞は「一つの」という感じ。
不定冠詞の複数は冠詞を付けない場合が多いです。
lo の後に形容詞が来ている場合は「~のこと」と名詞化されています。
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