ポキート、デスパシートの意味やスペイン語の縮小語尾については「Mucho, poquito」の記事でも説明していますが、とてもよく使う表現なので、もう一度縮小語尾に焦点を当ててみていこうと思います。
スペイン語の縮小語尾
メキシコではスペイン語の縮小語尾がよく使われます。言葉の語尾を少し変えることで、その物や人が小さいことを表したり、少ないことや時間が短いこと、愛情を表したりすることができます。
縮小語尾にはいくつかの種類がありますが、下の表に書かれている語尾が一番よく使われるものです。男性、女性、単数、複数によって変化します。言葉の最後の母音(2重母音の場合は母音一つと数える)を取って以下の語尾を付け加えます。
縮小語尾 |
単数形 |
複数形 |
男性形 |
-ito |
-itos |
女性形 |
-ita |
-itas |
ポキート
ポキートは「poquito」と書きます。元の形は「poco」で、「少しの」という形容詞であったり、「少量」という名詞であったり「少し」という副詞であったりします。「poco」だけでも「少し」という意味なのですが、この言葉に縮小語尾を付け加えて「少し」という意味を強調している感じですね。「poco」よりも「poquito」の方がずっとよく使います。
「poco」の「o」を取って「poc+ito」にすると、「pocito」になって「ポシート」と発音することになってしまっておかしいので、スペルが「キ」音になるように「poquito」に変わっています。
もっと少しと言いたいときは、「poquito」から更に「o」を取って「poquit+ito=poquitito」なんて言うこともあります。「ほんとにちょーっとだけ」なんて言いたいときには「poquititititito」なんて言う場合もあります。
同じように、チコという言葉があります。小さいという意味で「chico」と書きますが、これもよく縮小語尾が使われて「chiquito」、「chiquitito」、「chiquititito」などと言ったりします。女性名詞にかかる場合は「chiquita」ですね。
「pequeño」、「pequeña」も小さいという意味で「pequeñito」、「pequeñita」はよく使われます。
「今」は「ahora」ですが、「たった今」とか「今すぐ」という意味あいを込めて縮小語尾を使って「ahorita」とか「ahoritita」なんて言ったりします。
「un momento」というのは「ちょっとの間」という意味で、よく「ちょっと待って」という意味で使われますが、普通は縮小語尾を付け加えた「un momentito」の方が使われます。
「rato」も「ちょっとの間」という意味で、「al rato」は「あとで」ということですが、「ちょっとあとで」という感じで「al ratito」という言い方もよく使われます。
猫は「gato」ですが、「子猫」と言いたい時には「gatito」と言うことができます。
家は「casa」ですが「小さな家」と言いたいときは、謙遜の場合も含めて「casita」となります。
デスパシート
デスパシートは「despacio(ゆっくり)」の最後の2重母音「io」を取って「ito」を付けた形「despacito」です。ゆっくりな行為をしている人物などに対しての愛情である場合もあるし、「ゆっくり」と言っている相手に対して愛情を表しているかもしれません。
女性の名前「Ana」に縮小語尾を付け加えて「Anita」と呼んだりします。小さな子どもであるかもしれないし、愛情表現なので、大人であっても構いません。
男性の名前「José」の愛称は「Pepe」ですが、その愛称にさらに縮小語尾を付け加えて「Pepito」と愛情を込めて呼ぶこともあります。
祖父母のことは「Abuelos」と言うより「Abuelitos」と言った方が愛情が感じられます。
贈り物のことは「regalo」と言いますが「regalito」と言うと「ささやかな贈り物」という感じで謙遜の意味もあります。
コーヒーは「café」でこの言葉は縮小語尾が少し違って「cafecito」となります。「Te invito un cafecito」は「君にコーヒー一杯招待するよ」という意味で、「Te invito un café」よりやわらかい言い回しになります。
スペイン語の縮小語尾・まとめ
縮小語尾を付け加えてよく使われる言葉を中心に書いてみました。「-ito, -ita, -itos, -itas」の語尾以外の縮小語尾が付いた言葉には、「camión(バス)」⇒「camioneta(小型バス)」、「flor(花)」⇒「florecita(小さな花)」、「nieto(孫)」⇒「nietecito(小さな孫)」などがあります。
Mucho(ムーチョ)、 poquito(ポキート)、 despacito(デスパシート)って聞いたことありますか?どんな意味で、どんなときに、どんな風に使うでしょうか?
「いっぱい」という意味のmucho
「いっぱいの、沢山の」という意味で形容詞として使われるmucho は、かかる名詞の性や数によって次のように変化します。
| 単数形 | 複数形 |
男性形 | mucho | muchos |
女性形 | mucha | muchas |
例文を挙げますが、動詞は前回勉強した「-ar規則動詞」を使います。
Tomo mucho café.
¿Mandas mucha ropa?
Sí, mando mucha.
Enrique compra muchos dulces.
Estudiamos muchas materias.
意味:
私は沢山コーヒーを飲みます。
君は沢山の衣類を送りますか?
はい、沢山送ります。
エンリーケ(男性の名前)は沢山のお菓子を買います。
私達は沢山の科目を勉強します。
説明:
コーヒーや衣類という言葉のように、量が沢山でも複数形にならない名詞があります。La leche(牛乳)や El agua(水・女性名詞)などがそうです。
「いっぱい」という意味で副詞として「mucho」を使う場合は、男性単数形の形を使います。
Ellos trabajan mucho.
意味:
彼らは沢山働きます。
説明:
「mucho」は「彼ら」にかかるのではなくて、「働く」にかかっているのですね。
「ちょっと」という意味のpoquito
「ちょっとの、少しの」という意味で形容詞として使われる「poquito」 は、かかる名詞の性や数によって次のように変化します。
| 単数形 | 複数形 |
男性形 | poquito(pocos) | poquitos(pocos) |
女性形 | poquita(pocas) | poquitas(pocas) |
Yo necesito poquito dinero.
¿Prepara Ud. poquita carne?
No, preparo mucha.
Usamos poquitos materiales.
Ellas toman poquitas medicinas.
意味:
私は少しのお金が必要です。
あなたは少しのお肉を用意しますか?
いいえ、沢山用意します。
私達は少しばかりの材料を使います。
彼女たちは少しだけの薬を飲みます。
「ちょっと」という意味で副詞として「poquito」(またはpoco)を使う場合は、男性単数形の形を使います。
Fumo poquito.
意味:
私はタバコを少し吸います。
「un」を付けた「un poquito」(またはun poco)という名詞化された形は上記の副詞としての「poquito」と同じ意味でよく使われます。
Nado un poquito.
意味:
私は少し泳ぎます。
また、名詞の前に「un poquito de」を置くと、「少しの」という形容詞になって、4種類の形容詞(poquito、 poquita、 poquitos、 poquitas)の代わりに使うことができます。
Necesito un poquito de dinero.
意味:
私は少しのお金が必要です。
説明:
特に、名詞に他の形容詞が既にある場合は、「un poquito de」を使う方がきれいなスペイン語になります。
ちなみに、「沢山」の場合は、un mucho とは言わずに、「un montón」と言います。
despacitoやpoquitoって
実は、「mucho 」の反対語は「poco」なんです。では、「poquito」は何かって言うと、「poco」に縮小語尾が付いている形なのです。
縮小語尾にはいろいろな形がありますが、「poquito」の場合は「poco」の最後の母音「o」が取れて、「ito」が付きます。音が自然な「キ音」になるようにスペルが「c」から「qu」に変わっています。
縮小語尾をなぜ付けるかというと、「小さい」とか「少ない」という意味合いを添えたり、「かわいい」という愛情表現のニュアンスを出したりするためです。
また、柔らかい、優しい表現を表せたりもします。
「poco」という言葉自体が「少ない」という意味を持っているわけですが、「poquito」と言うことで、もっと少ないということを表すこともできるしまた、言い方が優しく聞こえるので、「poquito」の方がよく使われます。
例えば、「despacio(ゆっくりと)」という副詞があります。この言葉から最後の母音「io(2重母音)」を取って縮小語尾「ito」を付けると「despacito」になります。そうです。ルイス・フォンシのヒット曲のタイトルですね。
歌詞が、女性をゆっくりと愛撫するという内容なので、愛情表現たっぷりの言葉になっています。
でも、ゆっくりする相手が女性ではなくてネジくぎであったとしても、「ゆっくりと回すんだよ」と言っている相手に対して、優しく語りかけるなら、この縮小語尾の表現はおあつらえ向けです。
Ella camina despacito. 彼女はゆっくりと歩く。
「Ella camina despacio.」と言ったときより、彼女に対する愛情が感じられます。
また、例えば、第三者の外見について、悪く言わなければならないとき、でも、その第三者の人に対していい思いがある場合なども、縮小語尾を使ってその人の性格の良さを表したり、その人に対する愛情や敬意を表したりすることができます。
例:
feo(醜い)⇒feito(ちょっと顔はそれほど良くないけど)
gordo(太っている)⇒gordito(ぽっちゃりしている)
viejo(年寄)⇒viejito(おじいちゃん)
縮小語尾に対して、増大語尾というのもあります。でも、こちらの方は、「大きい」という意味あいを言葉に添えるほか、軽蔑の意味を含むことも多々あるので、縮小語尾の方を積極的に使うようにしてください。
Mucho、 poquito、 despacitoの意味・まとめ
Muchoや poquito、 despacitoの意味がわかっていただけましたでしょうか?言葉のニュアンスってとても大切だと思います。そして、スペイン語初心者の方にでも、最初からそういうニュアンス的なことを教えた方がいいのではないかと思っています。
スペイン語会話、楽しんでください!