ここでは、スペイン語の命令形について、徹底解説いたします。再帰動詞の命令形はどうなるのか?や目的語代名詞が来る場合はどこに付けるのか?も説明していますので、お役立ていただければ幸いです。
再帰動詞の命令形も普通の動詞の命令形も作り方は同じ
命令形ですから、相手がいます。相手にお願いしたり、命令するのが命令形です。相手は君(tú)かもしれないし、丁寧な言い方のあなた(usted)かもしれないし、あなた方(ustedes)かもしれません。基本的にその三つの人称代名詞によって活用が変わってきます。
命令形の作り方(活用)は、再帰動詞も普通の動詞も同じです。ただ、再帰動詞には再帰代名詞がありますよね(再帰動詞についてはこちらの記事をご覧ください)。肯定命令の場合は、再帰代名詞は動詞の後ろに連結して一つの言葉となります。否定命令の場合は、再帰代名詞は必ず動詞の前に来ます。
ではまず、肯定命令の活用からみてみましょう。
肯定命令の活用
ar動詞からは、動詞の原形(不定詞)から「ar」を取って、er動詞からは「er」を、ir動詞からは「ir」を取って、人称代名詞によって、以下の語尾を付け加えます。
ar動詞 | er動詞 | ir動詞 | |
tú | a | e | e |
usted | e | a | a |
ustedes | en | an | an |
er動詞と ir動詞は同じ活用ですね。
例えば:
dar(与える) | comer(食べる) | abrir(開ける) | |
tú | da | come | abre |
usted | dé | coma | abra |
ustedes | den | coman | abran |
そうですね。第二人称の「tú」に対して「与えなさい(ください)」とか命令するときは、第三人称単数形の普通の現在形と同じ形ですね。「usted」と「ustedes」の時は接続法現在の形です。
「dé」は前置詞「de」と区別をつけるため、アクセント記号が付いています。
また、普通の現在形(直説法現在)で動詞の原形(不定詞)の語尾の隣の音節の母音「u」が「ue」、「e」が「ie」、「e」が「i」に変化するものは、命令形でも同じように変化します。普通の現在形(直説法現在)の活用で「c」が「z」に変わったり、「g」が入ってくるものがありますが、命令形でも同じような変化になります。
sentarse(座る) | servir(サービスする) | traer(持ってくる) | |
tú | siéntate | sirve | trae |
usted | siéntese | sirva | traiga |
ustedes | siéntense | sirvan | traigan |
ちなみに「sentarse(座る)」は再帰動詞で、普通の現在形(直説法現在)の活用は以下のようになります。
me siento |
te sientas |
se sienta |
nos sentamos |
se sientan |
同じ位置にアクセントが来るように、命令形ではアクセント記号が付いています。
Siéntate aquí. | ここに座って。(君) |
Abre la ventana. | 窓開けて。(君) |
Ya sírvame la cena por favor. | もう私に夕食を出してください。(あなた) |
Cómprenmelo. Cómprenmela. | あなた方は私にそれを買ってください。 |
再帰動詞の再帰代名詞だけでなく、間接目的語や直接目的語の代名詞も、肯定命令文では、動詞の後ろに連結します。二つある時は間接目的語、直接目的語の順番ですね。
「por favor(お願いします)」を命令形に付け加えると丁寧な言い方になります。
否定命令の活用
否定命令の時は動詞の前に「no」が来ます。相手が「usted」と「ustedes」の時は肯定命令の時と同じ活用です。相手が「tú」の時だけ活用が変わって接続法現在の形になります。ar動詞からは、動詞の原形(不定詞)から「ar」を取って、er動詞からは「er」を、ir動詞からは「ir」を取って、人称代名詞によって、以下の語尾を付け加えます。
ar動詞 | er動詞 | ir動詞 | |
tú | es | as | as |
usted | e | a | a |
ustedes | en | an | an |
例えば:
dar(与える) | comer(食べる) | abrir(開ける) | |
tú | no des | no comas | no abras |
usted | no dé | no coma | no abra |
ustedes | no den | no coman | no abran |
「あげないで」、「食べないで」、「開けないで」という意味ですね。
sentarse(座る) | servir(サービスする) | traer(持ってくる) | |
tú | no te sientes | no sirvas | no traigas |
usted | no se siente | no sirva | no traiga |
ustedes | no se sienten | no sirvan | no traigan |
否定命令の場合は、再帰代名詞は必ず動詞の前に来ます。間接目的語や直接目的語の代名詞も、否定命令文では、動詞の前に来ます。
No te levantes todavía. Es muy temprano. | まだ起きないで(君)。すごく早いよ。 |
¿Te traigo la silla? No, no me la traigas. | 君に椅子を持ってくる?いや、それを私に持ってこないで(君)。 |
No llores. | 泣かないで(君)。 |
No me ayuden por favor. | あなた方は私に手助けしないでください。 |
「No te levantes」の「levantarse(起きる)」は再帰動詞ですね。
「君に椅子を持ってくる?」と言われて、日本語だと「それを私に」というのは答えるときに普通、言いませんよね。だから、「no traigas」と答えてしまいそうです。それでも通じますが、スペイン語では目的語代名詞を付けます。
命令形の不規則動詞の例
よく使う命令形の不規則動詞の活用形を載せておきます。相手が「tú」の場合は、肯定命令の場合と否定命令の場合とで活用が違うので、その両方を記載しています。
動詞の原形 | tú(肯定) | tú(否定) | usted | ustedes |
ir(行く) | ve | no vayas | vaya | vayan |
venir(来る) | ven | no vengas | venga | vengan |
tener(持つ) | ten | no tengas | tenga | tengan |
hacer(する、作る) | haz | no hagas | haga | hagan |
ser(である) | sé | no seas | sea | sean |
poner(置く) | pon | no pongas | ponga | pongan |
decir(言う) | di | no digas | diga | digan |
salir(出る) | sal | no salgas | salga | salgan |
ver(見る) | ve | no veas | vea | vean |
estar(である) | está | no estés | esté | estén |
saber(知っている) | sabe | no sepas | sepa | sepan |
肯定命令で相手が「 tú」の時、「ir」と「ver」は同じ形ですね。
estar の「君」に対する命令形は通常 estate を使います。
¡Vete para allá! | あっちへ行って!(君) |
¿Hago un pastel? Sí,hazlo. | ケーキ作る?うん、作って(それを)。(君) |
Díganos,¿qué quiere usted? | 私たちにおっしゃってください。何がご入用ですか?(あなた) |
Póngase los lentes para que pueda leer la carta. | 手紙が読めるように眼鏡をかけてください。(あなた) |
「Vete」は再帰動詞「irse(去る)」です。「Póngase」も再帰動詞「ponerse(身に付ける)」です。
スペイン語の命令法徹底解説・まとめ
スペイン語の命令文は日常とてもよく使われます。動詞の命令形そのままでも使われますが、再帰動詞の肯定命令だと、動詞の後ろに再帰代名詞が連結していて一つの言葉を形成しているし、会話の中での命令文では、動詞の後ろに目的語の代名詞が引っ付いていることがよくあるので、それについての説明や、例文を多く入れてみました。
↓こちらの記事でも命令系の例文を書いていますので、良ければご覧になってみてください。
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