スペイン語を聞いていると、「se」がたくさん出てきます。「セ」と発音するので、同じ発音をする「sé」も合わせると、何の「セ」なんだか、わからなくなってしまうかもしれません。ここでは、「se」の用法をわかりやすく整理してみようと思います。
スペイン語の動詞 se ven
「ven」は動詞「ver(見る、会う)」の、主語が「彼ら、彼女ら、あなた方」の場合の現在形です。その動詞の前に「se」が付いています。この「se」は何でしょうか?
これは「お互いに」という意味 で、この se の付いた動詞は相互関係を表す動詞になります。複数形でだけ使われます 。主語が「私たち」の時は「se」ではなく「nos」になるので「私たちはお互いに会います」という意味だと「Nos vemos」になります。よく、「さようなら」という意味で使われる言葉ですね。
Ellos se ven seguido .
彼ら はお互いによく 会っています。
Mi tía y mi prima se parecen mucho.
私の叔母 と従妹 はすごく似ています。
Mi gato y el gato del vecino se pelean.
私の猫と 隣人の 猫は喧嘩します。
Eduardo y Angélica no se hablan para nada .
エドゥアルドとアンヘリカはお互いに全く 話さない(仲が悪い)。
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とはいえ、「Ellos se ven bien.」と言った場合は、「彼らはよく見える」という意味で再帰動詞の用法となります。再帰動詞については次をご覧ください。
再帰動詞 se casó
「se casó」は再帰動詞です。再帰動詞については以下のリンクをクリックすると詳しく書いた記事に行けますので、必要に応じてご覧ください。
再帰動詞について
「se casó」の動詞の原形は「casarse」で「結婚する」という意味です。「se casó」は点過去なので「結婚した」という意味です。主語は「彼、彼女、あなた」などですね。
再帰動詞には必ず主語によって再帰代名詞(me, te, se, nos, se)が付くので、再帰動詞の主語が「彼、彼女、あなた、彼ら、彼女ら、あなた方」などの場合は、「se」が付きます 。
Nuestro hijo se casó el año pasado .
私たちの息子 は去年 結婚した。
Arturo se cayó en la calle .
アルトゥーロは道 で 転んだ。
Mis abuelos siempre se sentaban en esa banca .
私の祖父母はいつも そのベンチに 座っていた。
Ella se fue temprano .
彼女 は早く 帰った。
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再帰動詞:
casarse(結婚する)
caerse(落ちる、転ぶ)
sentarse(座る)
irse(去る)
無人称文 se usa
「usa」は動詞「usar(使う)」の第三人称単数形が主語の現在形です。この動詞の前の「se」は何でしょうか?この「se」は無人称文を表しています 。主語がない(必要ない)、または、「人々は」を主語として訳すこともできます。動詞によっては受け身 の形になります。
「se usa」の場合、使うものが何か(実質的な主語)によって単数形でも複数形「se usan」でもいいです。
En este pueblo, se usa mucho la madera para todo .
この村ではすべてにおいて 木材 が多く使われます。
¿Se puede entrar ?
入る ことができますか?
Aquí se habla español .
ここ ではスペイン語 が話されています。
¿Cómo se escribe tu nombre ?
君の名前 はどう 書きますか?
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se me olvidó
「se lo」「se la」「se los」「se las」の場合は「se」は間接目的語代名詞の「le(彼に、彼女に、あなたに)」または「les(彼らに、彼女らに、あなた方に)」など だとわかります。間接目的語代名詞については以下の記事に詳しく書いてあります。
間接目的語代名詞について
じゃあ、「se me」の「se」って何?この「se」は再帰代名詞 です。じゃあ、この「me」は何なんだ?って話になりますよね。この「me」は間接目的語代名詞の「私に」です。「私に被害が降りかかった」という意味 です。
「se me olvidó」は「私は忘れちゃった」という意味です。とてもよく使う表現で、スペイン語らしい言い回しです。実質的な主語は「忘れた物」で、「忘れた物が私に忘れさせた」と言うような、まるで、自分には責任がないかのような言い方に聞こえます。
他の間接目的語代名詞も使えて「¿Se te olvidó?(君、忘れちゃったの?)」の他、「se le 」、「se nos 」、「se les 」も使えます。また、「忘れた物」が複数の場合は「Se me olvidaron.」と複数形を使うこともできます。
Se me olvidó el libro .
本 、忘れちゃったんだよ。
Se le nota que no es de aquí .
(彼、彼女は)ここ 出身じゃない ってバレちゃってるよ。
A mi abuelo a veces se le va la onda.
私の祖父 は時々 ボケてる。
Se me perdió la llave .
私は鍵 を失くしちゃった。
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どれも「本人の意思に反して」というニュアンスがあります。
「se le nota」は例えばアクセントが違うからわかったとか、顔でわかったとかそういうことです。
「la onda」は「波」とか「電波」などの意味で、「se va」の「irse」は「去る」とか「行ってしまう」という意味ですよね。「Es que se me fue la onda.(ボーっとしてて)」などの表現にも使えます。
「忘れた」もそうですが、「失くした」も普通に「Perdí la llave.(私は鍵を失くした)」と言ってもいいわけですが、「Se me perdió la llave.」と言われた方が、あなたの鍵を失くされていたとしても謝ってもらえる確率は低いだろうな、という感じですね!
No sé と Sé feliz
「se」とは全然別物の「セ」なので区別をつけるためにアクセント記号が付く「sé」があります。アクセント記号が付いていても、発音は同じです。
「No sé」の「sé」は「私は知っている」という意味 です。「No sé」は「私は知らない」という意味ですね。動詞の原形は「saber」です。「saber」の活用は下の記事をご覧ください。
saber の意味と活用
「No lo sé.(私はそれを知りません)」と直接目的語代名詞 が入ることもあります。
「Sé feliz」の「Sé」はまた違う動詞です。動詞の原形は「ser」で「~です」という意味です。「Sé」は相手が「君」に対して言う命令形です。「feliz」は「幸せな」という形容詞で、「Sé feliz」で「幸せになってください」という意味になります 。
形容詞を変えて「Sé fuerte(強くあれ)」などいろんな表現が作れます。
スペイン語の se の用法・まとめ
「se」は複数形の主語で、「お互いに~だ」という時に使われることがあります。
また、スペイン語には再帰動詞 というものがたくさんあって、その場合には、第三人称単数形か複数形の主語のときに、再帰代名詞 「se」が使われます。
再帰動詞の動詞と再帰代名詞の間に間接目的語代名詞が入っていることがあります。その場合は「~してしまった」という意味合いだと思っていただけるといいと思います。
無人称文として、動詞に「se」がつくこともあります。「行う人は誰」と指定する必要のないときに使え、スペイン語の文章の中での主語は行いを受ける物や事になるので、受動態と理解してもいい場合もありますが、「¿Se puede~?(~してもよろしいですか?)」のように違う形の無人称文もあります。
「se」と発音は同じですが、「No sé」や「Sé feliz」のように、動詞の「saber」や「ser」が活用変化したものもあります。
スペイン語の動詞「hacer」の例文を記載します。「hacer」の使い方は「する」や「作る」の他にもたくさんあります。hacer の直説法現在(普通の現在形)の活用はこちらの記事 にあります。hacer の接続法現在の活用はこちらの記事 をご覧ください。hacer の点過去の活用はこちらの記事 に書いてあります。hacer の線過去の活用は規則変化 です。必要に応じてご覧いただけると幸いです。
hacer のスペイン語の例文
¿Cuánto hace que no ves a tu familia ?
どのくらい 前から 君の家族 と会ってない?
Hace un año que no veo a mi familia.
1年 前から私の家族と会っていません。
¿Cuánto tiempo se hace de aquí a tu casa?
ここから 君の家までどのくらい かかる?
Se hacen más o menos veinte minutos en camión .
だいたい バスで 20 分くらいかかります 。
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「tiempo」は「時」という意味なので、「Cuánto tiempo」で「どのくらいの時間」という意味になります。「tiempo」を略して「Cuánto」だけでも、これらの文章の場合には「どのくらいの時間」という意味になります。
「Hace+時の長さ+ que +普通の現在形」で「...前から~しています」という表現になります。「時の長さ」のところに「mucho」を入れて「ずいぶん前から」と言うこともできます。使える表現ですよね?この「hace」は「前に」という意味です。2 年前であっても「hacen」にはならず、「hace dos años」となります。前置詞のようですが、時制が変わることがあるので動詞なんですね。「~して...経ちます 」と訳すこともできます。
再帰動詞の「hacerse」を使った「Cuánto se hace」の方は「時間がかかる 」という意味で、こちらはかかる時間が複数の場合は「se hacen」と複数形になります。こちらも使える表現ですよね。
hacer caso
Hay que hacerles caso a tus papás .
君の両親の 言うことを聞かなきゃダメだよ。
hacer un favor
¿Puedes hacer me un favor?
私のお願いを聞いてくれる?
hacer falta
Hace falta el personal .
職員 が足りない。
hacer escala
Tengo que hacer escala en Los Angeles .
私はロサンジェルス を経由しなければならない。
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「No hace caso」という否定文だと「無視する」という意味で使えます。
hacer la cama
La sirvienta hace la cama.
お手伝いさん がベッドメーキングをします。
hacer la comida
¿Quieres hacer la comida o quieres salir a cenar ?
食事 を作りたい?それとも夕食に 出かけたい?
hacer la maleta
Ya hice la maleta.
私はもう 荷造りしました。
hacer a mano
Van a hacer todos los adornos a mano.
彼らはすべての 飾り を手作業で作ります。
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「la maleta」というのは「トランク」のことです。
hacer cola
Debemos hacer cola para entrar .
私たちは入る ために 並ばなければなりません。
hacer trampa
Puede que te hagan trampa.
彼らは君に インチキをするかもしれないよ。
hacer daño
No fue mi intención hacerte daño.
君を 傷つけることは私の意図 ではなかった。
hacer +不定詞(動詞の原形)
El maestro de Educación Física siempre nos hace saltar.
体育の先生 はいつも 私たちに飛び跳ねさせる。
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「cola」は「しっぽ」や「列」という意味です。「trampa」は「わな」という意味です。「daño」は「損害」という意味です。hacer+動詞の原形で、「~させる」という意味になります(使役 )。
その他、「Hace calor (暑い)」などの天候や天気 に関する言い回しについてはこちらの記事 をご覧ください。
hacer のスペイン語の例文・まとめ
hacer の意味は「する」や「作る」ですが、その他にもいろんな使い方があります。「どのくらい前からここに住んでいるんですか?¿Cuánto hace que vives aquí?」なんて、きっと使う機会ありそうな例文ですよね?
ここでは、スペイン語で「いくらですか?」や「もっと大きいサイズはありますか?」など、お店で使えるフレーズの翻訳を記載していますので、会話の学習に役立ててください。
スペイン語で「いくらですか?」
スペイン語で「いくらですか?」というフレーズはいくつもあります。
¿Cuánto es?
いくらですか?
¿Cuánto vale?
いくらですか?
¿Cuánto cuesta?
いくらですか?
¿A cómo son?
いくら?(市場などで)
¿A cómo lo(la, los, las) da?
いくらでそれを売ってくれるの?(市場などで)
¿En cuánto me la(lo, las, los) deja?
それをいくらにまけてくれるの?
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「cuesta」の動詞の原形は「costar」で「費用がかかる」という意味です。
「vale」の動詞の原形は「valer」で「値打ちがある」という意味です。
「いくらですか?」と聞いたら、「いくらです」と数字を言われるので、数字 は覚えておくと便利ですね。
お店で使えるフレーズの翻訳
それを試着できますか?
¿Me lo(la, los, las) puedo probar, por favor?
お嬢さん、すいません、もっと 大きい サイズ はありますか?
Oiga señorita,¿ tiene una talla más grande ?
店員さん(男性)、すみません 、もっと小さい サイズはありますか?
Disculpe señor , ¿tiene una talla más chica ?
他の 色 のはありますか?
¿Tiene de otro color ?
お勘定 お願いします。
La cuenta , por favor.
クレジットカード で 払えますか?
¿Puedo pagar con tarjeta de crédito ?
現金で 払います。
Pago en efectivo .
すいません、おつり が間違えていると思うんですけど。
Perdón, creo que está equivocado el cambio .
すごい 高いですね。
Está muy caro(a). Están muy caros(as).
それを買います 。
Sí lo (la, los las) compro .
ありがとう。
Gracias.
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お店で使えるフレーズの学習・まとめ
お店で値札がついていたら、「いくらですか?」と聞く必要はないかもしれませんが、「もっと大きいサイズはありますか?」なんて、知っていると役に立つことがあるかもしれません。
直接目的語代名詞(lo, la, los, las)をその物が男性名詞か、女性名詞か、単数か複数かによって入れるのは面倒かもしれませんが、間違えても構わないので、どんどん使って、買い物を楽しんでください!
「Tengo que ~」は「私は~しなければならない」という意味で、「 Hay que ~」は「~しなければならない」という意味の無人称文です。「~しなければならない」というスペイン語で義務を表す表現は、助動詞の記事 にも出てきています。
Tengo que ~
「Tengo que ~」の「~」の部分に動詞の原形が入って、「私は~しなければならない」という意味で「必要性」を表現します。主語によって、動詞「Tener」を活用させます。
Tengo
Tienes
Tiene
Tenemos
Tienen
que ~
Tengo que escapar de aquí .
私はここ から 逃げなければならない。
Tienes que tener cuidado.
君は気を付けなければいけない。
El cocodrilo tiene que comer algo también .
ワニ も 何か 食べなければならない。
No tenemos que tener miedo .
私たちは怖がる べきではない。
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「tener cuidado」は「気を付ける」という意味です。
Hay que ~
「Hay que ~」の「~」の部分に動詞の原形が入って、「~しなければならない」という意味になります。「Hay」の動詞の原形は「Haber」です。無人称文なので主語はありません。
Hay que estudiar mucho .
たくさん 勉強しなければならない。
¿A qué hora hay que estar a la reunión ?
何時に 集会 に いなければなりませんか?
Hay que tener cuidado.
気を付けなければならない。
Hay que ir temprano .
早く 行かなければならない。
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「Hay que」の方が動詞を活用させなくていいので簡単ですよね?
Debo ~
助動詞 のところにも書いてありますが、「Debo ~」も「私は~しなければならない」という意味で「義務」を表現します。「~」の部分はメインの動詞の原形が入ります。「Debo」の動詞の原形は「Deber」で主語によって以下のように活用させます。
Debo
Debes
Debe
Debemos
Deben
~
Debo cuidar a mis hijas .
私は私の 娘たち の面倒を見なければなりません。
Ustedes no deben llegar tarde a la escuela .
あなた方は学校 に 遅く 着いてはなりません。
Debes visitar a tus abuelos de vez en cuando .
君は時々 君の 祖父母を 訪れるべきです。
¿En dónde debe Ud. esperar a sus compañeros ?
どこで あなたは同僚 を 待たなければなりませんか?
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Tengo que, Hay que の意味・まとめ
「Tengo que +動詞の原形」や「Debo +動詞の原形」は「私は~しなければなりません」という意味で、主語によって動詞「Tener」や「Deber」を活用変化させた形を使います。
「Hay que +動詞の原形」も「~しなければなりません」という意味ですが、無人称文なので、常に「Hay que」の形で表現できます。